7 旧田中家住宅の利活用について
◆37番(稲川和成議員) 答弁ありがとうございます。
設置に向けて取り組むとの前向きな答弁と理解いたしました。また、災害対策にもつながるとのことでしたので、ぜひ設置していただきたいと思います。
大きな7 旧田中家住宅の利活用についてであります。
昨年10月の国の文化審議会の答申を受け、岩手県雫石町にある「小岩井農場」の建物が国の重要文化財に指定されました。この小岩井農場を構成する重要文化財21棟の建物の中の一つに、明治36年築の「本部事務所」旧岩崎農場事務所がありますが、何とこの建物は本市の国登録有形文化財「旧田中家住宅」を設計した櫻井忍夫が40歳のときに携わった作品であるという事実を今回改めて知ることとなりました。櫻井忍夫は、日本近代建築の父として有名なイギリス人建築家ジョサイア・コンドルの系譜につながる建築家で、日本郵船深川倉庫や東京電気鉄道渋谷発電所、三菱合資会社門司支店倶楽部・同社宅、実業家の邸宅や別荘など、さまざまな建物の建設に携わっております。
しかしながら、現在、櫻井忍夫が携わった建物は「小岩井農場の本部事務所」と本市の文化遺産、「旧田中家住宅」の2件しか残されておりません。私は、昨年の9月定例会において「旧田中家住宅の利活用について」という質問の中で、耐震診断を行うに至った理由と今後の利活用についてお伺いしました。さらには、この「旧田中家住宅」を歴史的・文化的価値の極めて高い歴史的建造物として、ぜひ国の重要文化財にしてほしいとの要望もあわせていたしました。その際、市の回答としまして、現在、敷地内にある茶室を今以上に活用し、大正・昭和の歴史や文化の余韻に浸っていただける空間を創出するとのお答えをいただきました。
そこで、今回改めて質問いたします。
その後行った耐震診断の結果について。
(2)今後の利活用事業の計画について今後、この建物の利活用を図っていく上で、どのような計画があるか、市のお考えをお聞かせください。
◎古澤貢生涯学習部長 御答弁申し上げます。
(1)でございますが、旧田中家住宅につきましては、図面等が残されておらず、建物の構造形式が明らかでない状況でありましたことから、歴史的建造物の専門業者に委託し、構造調査・図面作成及び耐震診断をあわせて実施した経緯がございます。調査の結果、旧田中家住宅は、およそ5度にわたる増改築により建築された複雑な建造物であることが判明し、その来歴を知る大きな成果が得られたところでございます。しかしながら、築90年超の洋館をはじめ和館、文庫蔵、茶室、煉瓦塀という歴史を重ねて参りました建物等につきましては、大地震時に倒壊の恐れがあり、耐震補強が必要であるとの結果が出されたところでございます。
次に、(2)でございますが、旧田中家住宅につきましては、耐震力が不足していることが明らかになりましたことから、来館される方々の安全性を確保するため、早急に耐震補強に取り組んで参りたいと存じます。さらに、耐震性の確保に併せ、文化財登録外であります茶室を活用し、旧田中家住宅を訪れる方々に軽食や飲み物を提供する場を設けるなど、優れた歴史的建造物を鑑賞した後に、大正・昭和初期の文化の余韻に浸っていただく付加価値の創出について検討して参りたいと考えております。
今後とも、さまざまな手法により旧田中家住宅のさらなる魅力の向上に努めて参りたいと存じます。
以上でございます。