2 埼玉高速鉄道株式会社における平成27年度決算について
◆37番(稲川和成議員) それでは、質問の2に移ります。
次は、埼玉高速鉄道株式会社の平成28年3月期決算についてであります。
去る6月29日、埼玉高速鉄道株式会社は、平成27年度決算について公表いたしました。それによると、当期純利益は20億5,600万円の黒字となり、平成13年の開業以来、初めて経常黒字を達成し、本市や埼玉県などからの財政支援に頼らない自立経営をスタートさせることができたとのことであります。
私も当時、昨年ですが、市議会議長として社外取締役の一端を担い、荻野社長をはじめとする経営陣の努力を見聞きしておりましたことから、大変うれしく思った次第であります。もちろん、今回の経常黒字達成には、一昨年に実施した事業再生裁判外紛争解決手続、いわゆるADRによるところが大きいのでありますが、経営陣による安全運行や経費節減、資産を活用したカルチャースクールの実施や沿線の魅力発掘など、さまざまな努力の成果が利用者拡大、営業収益の増加に結びついたものだと思っております。
ちなみに、平成28年度の第1四半期も経営状況は引き続き好調で、1日当たりの輸送人員も10万6,031人と前年同期より2.5ポイント増加しているとのことであります。
さらに、国立競技場改修による埼玉スタジアムでのサッカー試合数の増加など、埼玉高速鉄道には追い風も吹いております。この機会をしっかりと生かし、自立経営の道を歩んでいただきたいと願っております。
そこで質問です。

今回の黒字には、一昨年度、本市が埼玉県やさいたま市とともに実施した公的支援による事業再生ADRが大きく影響しておりますが、今後、黒字経営が続くようであれば、市民に対して利益の還元を求めるべきだと思います。例えば、沿線では区画整理の進展に合わせて学生が増えているので、通学定期の割引率を上げてはいかがでしょうか。
(2)埼玉高速鉄道の利用促進に対する市の取り組みについて埼玉高速鉄道株式会社の利用促進について、市ではどのような取り組みをされているのでしょうか、お聞かせください。

◎奥ノ木信夫市長 稲川和成議員の2番の(1)について御答弁申し上げます。
一昨年度の産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決、いわゆる事業再生ADRについては、議会の御理解を得て本市からも財政支援をいたしたところであります。その結果、昨年度は経営状況が大きく改善されましたことから、私は、埼玉高速鉄道のサービスの一層の向上などに大いに期待しているところであります。一方で、開業から16年目を迎え、経年劣化による施設の故障が増加していることから、まずは設備投資のための資金を確保していく必要があると同社より聞いているところであります。
議員御提案の通学定期の割引率の引き上げは、同線を利用する子育て世帯の負担を軽減するとともに、沿線を居住地として選択する呼び水になるなど、本市にとっても大変価値のあるものだと考えております。本市といたしましては、将来的には運賃の値下げを望むところではありますが、埼玉高速鉄道は、事業再生の緒についたばかりであります。したがいまして、まずは通学定期の割引率の引き上げから着実に図られるよう、同社に対して働きかけて参りたいと存じます。
以上です。
◎粟津貴史技監兼都市計画部長 御答弁申し上げます。
(2)でございますが、埼玉高速鉄道の利用促進については、埼玉県及びさいたま市と連携して取り組んでいるところでございます。昨年度は、沿線を紹介するリーフレット「エキトコ」を作成し、埼玉高速鉄道と直結する東京メトロ南北線の飯田橋駅、後楽園駅及び王子駅で配布イベントを実施いたしました。また、京浜東北線の車内ビジョンで沿線の紹介を放映いたしました。
今年度は、沿線地域への定住促進を目的として、新たに沿線に引越されてきた方へのインタビューなどをもとに、沿線の魅力を紹介するリーフレット及びホームページを作成し、PRに取り組んでいるところでございます。
以上でございます。
◆37番(稲川和成議員) 市長、通勤の費用は勤務先から手当が支給されますが、通学の費用は100パーセント家計の負担となります。もちろん、車両や施設設備の保全を十分に行い、利用者の安全・安心の確保は最優先で行なっていただいた上で、経営が安定したならば、ぜひとも通学定期の割引率の引き上げについて、取り組んでいただきますよう要望させていただきます。