1 未来の宝 子ども達の為に「社会資本の老朽化と財政問題」について

◆19番稲川和成議員 自由民主党の稲川和成です。
 まず、傍聴席の皆様、時間調整をしていただきまして、何かと御多用中にもかかわりませず、本日傍聴いただきますこと、心より厚く御礼を申し上げます。
 それでは、通告に従い順次質問に入ります。

一般質問稲川先生似顔絵 (1) 人口減少の中、公共施設維持の基本的な考え方について

 日本の総人口は2004年をピークに今後100年間で、100年前(明治時代後半)の水準に戻るとのデータが総務省「国勢調査報告」及び国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」からの資料で明らかで、また税収が多かった高度成長期に集中的に建設した公共施設やインフラが老朽化を迎え、大きな問題となってきた。
 昨年2012年12月2日、山梨県大月市笹子町の中央自動車道笹子トンネル上り線天井板落下事故では、死亡者9人、負傷者2人と高速道路上での事故としては史上最多であった。
 そこで質問ですが、統計川口の人口ピラミッドからもわかるように、維持管理を支える人材の高齢化と減少が進む中、本市の基本的な考え方をお尋ねいたします。

(2) 朽ちるインフラの維持管理更新について

 市内の公共施設を同じ場所に同じ機能で同じ大きさで建て直すのは、財政的に不可能であると考えています。しかしながら、川口市ではこれまでスクラップ・アンド・ビルドの傾向にあると感じています。その考え方を見直していく必要があります。
 次の5施設の維持管理更新費用がどのくらいかかると考えているのか、それぞれお答えください。

質問アとして、小学校52校 延床面積334,331.76平方メートルについて
質問イとして、中学校26校 延床面積189,486平方メートルについて
質問ウとして、公民館等38館 延床面積55,914.3平方メートルについて
質問エとして、図書館7館 延床面積16,281.35平方メートルについて
質問オとして、スポーツセンター、体育館13施設 延床面積6万2,924.97平方メートルについて

(3) 大宮東口プロジェクトについて

 30年ぶりに再開発計画が始動した大宮駅東口のまちづくりで採用した手法について質問します。
 この事業は、移転が予定されている大宮区役所と隣接する大宮小学校の敷地を含めた約2万6,000平方メートルを仮想の再開発用地として設定、その中に複合公共施設やホテル、小学校、広場などを配置するプランを東洋大学と東京芸術大学の建築学科の学生が作成、地元市民でつくる大宮駅東口協議会とさいたま市のまちづくり事務所が協力したプロジェクトです。
 具体的に当プロジェクトの進め方は、複数の学生グループがまちの300分の1の立体模型を製作した後、一般市民が自由に参加できるパブリックミーティングでわかりやすくプレゼンテーションを行うことで、市民の方々などからアドバイスをもらい、学生はその場で得られた意見や評価を持ち帰り、次の回までにさらに案を練り直して、回が進むごとに提案が進化していく仕組みをとっています。
 質問アとして、産学官連携によるまちづくりについてお尋ねいたします。大学が有するすぐれた人材や研究成果などの「知の資源」を活力ある地域づくりに活かす必要があると思うが、本市の実績及び今後の見解はいかがか。

質問イとして、EU諸国のコンペ方式についてお尋ねいたします。  仄聞するところEU諸国では公共施設を建築する場合、コンペ方式で設計者を選定しているようだが、当局はEU諸国のコンペ方式を研究していますか。

(4) 学校の多機能化に向けて、(仮称)川口市火葬施設を受け入れた神根東地区に関わって

 2010年に開校した荒川区の汐入東小学校は仄聞するところ、1階が認定こども園、2階から4階が小学校、5階・6階が体育館、7階は区民プールと共有しています。建物の構造も固定的にせず、将来地域ニーズが変化すれば、それにあわせて用途が変えられるようになっています。私は、このような多機能施設をつくって更新投資のコストを下げる必要があると考えています。問題は、整備の優先順位をどうするのかであります。
 そこで提案ですが、(仮称)川口市火葬施設を受け入れた神根東地区をモデル地区とし、早期の事業計画決定に取り組んでいただきたい。この地区は最優先で整備を受ける権利があると考えています。総論は大賛成だが各論は大反対の迷惑施設の火葬施設を受け入れていただいた恩を川口市民は感じなければなりません。神根東公民館、神根中学校、神根東小学校は隣接して建っています。この3施設を多機能化とし、整備していくことを提案するが、当局はどのように考えるか。

(5) 新庁舎の建設地の選定について  

 昨年の9月定例会で発言しておりますが、私は上青木SKIPシティが建設地にふさわしいと考えています。先月答申された2つの候補地の評価は、6つの視点で明らかになったように、防災拠点性と建設コストについて、SKIPシティがすぐれていると結論、この結論については最終の第8回審議会において全会一致で賛成されたと聞いております。
 また、SKIPシティを支持した委員から、次のようなお話がありました。その方は、審議会が始まる前に自分が所属している地域の責任者に集まっていただき、どのような発言をすべきか協議をし、地域の声を一本化して審議会に臨んだそうです。その方の審議会全体の感想として、所属している地域・団体の人々と話し合った結果から発言している委員と、個人としての発言及びごく一部だけの意見集約での発言が多かったと感じる委員がいたと話されています。議事録から判断すると、意見拮抗だったのかなと感じます。
 利害が対立する案件ですから、意見が分かれて当然ですが、答申書の文章「川口市庁舎が次世代に継承され、都市の持続的な発展に寄与するとの長期的な視野に立つ」の部分をどのように解釈するかが最大のポイントと感じます
。  答申書の中には、移転する場合の跡地関連対策も書かれています。ポイントは「跡地利用によって成立する施設計画によっては、逆に新たな商業需要、経済需要をもたらすような賑わいを生み出す可能性があり、その可能性を追求しなければなりません」とあります。ここでずばり私の跡地利用計画を提案します。
 国に働きかけて、(仮称)全国ゆるキャラ博物館を誘致しようではありませんか。国内は当然ながら、国外からも相当数の誘客が見込めるはずです。そこで質問ですが、全国ゆるキャラ博物館誘致を提案するが、いかがか。

 繰り返しとなりますが、市長の諮問を受けた機関による答申という重みを考え、上青木SKIPシティ移転の上程を心よりお願い申し上げます。

一般質問答弁用

◎岡村幸四郎市長 稲川和成議員の御質問に御答弁申し上げます。

 はじめに(1)でありますが、本市はこれまで小学校、中学校をはじめ、福祉、社会教育、スポーツ施設等の整備を進め、市民サービスの向上と都市機能の充実を図って参りましたが、これら施設の老朽化の進行が著しく、今後一斉更新の時期を迎えようとしております。
 こうした中、今日の大変厳しい財政状況下におきましては、すべての施設を建て替えるということは極めて困難な状況にありますことから、市が保有する施設の基本的な方向性を示す基準として、新たに「川口市施設マネジメント基本方針」を策定したところであります。
 この基本方針には、施設総量の適正化を図ること、ライフサイクルコストの縮減を図ること、既存施設の長期利用を図ること、生活関連施設の計画的な維持管理・更新を図ることを掲げて、この取り組みを推進するために施設マネジメント推進体制を整備するものであります。
 今後は、この基本方針に基づきまして、施設マネジメントを機能的に進めることにより、効率的な施設運営に努めて参る所存であります。  続いて、(3)のアでありますが、本市におきましては、大学の持つ豊富な資源を活用し、地場産業の活性化、人材育成、まちづくりなどの幅広い分野における協力体制を構築することにより、地域社会の発展や地域経済の振興を積極的に推進するべく、平成15年7月に早稲田大学との間に基本協定を締結し、西川口駅周辺地区まちづくりや川口市景観設定指針の策定調査など、各部局において官学連携による事業を実施して参りました。
 今後も市民の皆様の御意見をはじめ、各種産業団体や大学など産学官で相互に連携協働して、地域の特性を活かしたまちづくりを鋭意進めていきたいと考えております
。  以上であります。

 

◎江連保明生涯学習部長 御答弁申し上げます。

 (2)のアでございますが、平成24年度の小学校52校の維持費につきましては、人件費を除き約21億3,000万円でございます。また、建設工事費につきましては施設の規模により異なりますが、平成22年度に竣工した元郷南小学校が29億2,000万円となっております。
 次に、イでございますが、平成24年度の中学校26校の維持費につきましては、約12億9,000万円でございます。また建設工事費につきましては、これも施設の規模により異なりますが、平成7年度に竣工した戸塚西中学校が約33億3,000万円となっております。
 次に、ウでございますが、平成24年度の公民館38館の維持費につきましては、約5億8,000万円でございます。また、建設工事費につきましては、平成22年度竣工の並木公民館が約8億8,000万円となっております。
 次に、エでございますが、平成24年度の図書館7館の維持費につきましては、約2億5,000万円でございます。また、建設工事費につきましては、前川図書館と同規模で積算いたしますと、約10億9,000万円となってございます。  次に、オでございますが、平成24年度のスポーツ施設全体の維持管理費につきましては、約10億3,000万円でございます。また、建設工事費につきましては平成19年度に竣工した戸塚スポーツセンターが約36億9,000万円となっております。
 次に、(4)でございますが、本市の施設の複合化といたしましては、公民館と保育所、スポーツセンターと公民館などがあり、現在平成28年度完成に向けて幸町小学校と栄町公民館の建替えを進めております。議員御指摘の複合化を一歩進めた、建物の構造を固定化せずにニーズに応じて用途を変更できる施設の多機能化につきましても、さらなる施設の有効利用の観点から研究して参りたいと存じます。
 以上でございます。

◎渡辺正之理財部長 御答弁申し上げます。

 (3)のイでございますが、EU諸国で実施されておりますコンペ方式は、今では歴史的建築物になっているパリのオペラ座等の設計に採用されている方式でございますが、国内におきましてまだ実施例が少なく、実施にあっての課題もあるかと思われます。
 しかし、今後の公共施設建築にあたりまして、すぐれたデザイン性を有した設計者選定の一つの方法と思われますので、情報を収集しながら研究して参りたいと存じます。
 次に、(5)でございますが、答申の中で建替え実施にあたっての課題として、仮に移転する場合の跡地関連対策については、都市の魅力向上、中心市街地の活性化に寄与する土地利用の必要性などが述べられております。こうしたことから議員御提案の全国ゆるキャラ博物館の誘致につきましては、新庁舎の建設地決定後の跡地関連対策の一つとして研究して参りたいと存じます。
 以上でございます。

一般質問稲川先生似顔絵それでは、再質問させていただきます。
 まず、(2)にかかわりまして、生涯学習部長のほうから答弁をいただいたわけですが、そうしますと、平成24年度の維持管理の合計額が約52億8,000万円程度になるのかなと推察いたします。この額が多いか、少ないかと申しますと、私的にはすごく経費がかかって、維持管理をされているなと、しかも教育関係の小・中、そして公民館、図書館、体育館等だけでこれだけの維持管理費がかかっている。さらにさまざまな公共施設があるわけですから、物すごい額で維持管理の固定費となっているんだなと思います。
 そこで、1点御紹介させていただきたいんですが、神奈川県藤沢市では、建替え等の更新費用を1平方メートルあたり約35万円という数字が出されたというケースがあります。そうしますと、藤沢市の例をとって、5施設の総延べ床面積が約65万平方メートルですから、単純に掛け算しますと2,275億円、同じ場所に同じ機能で同じ大きさで建て替えた場合、2,275億円かかってくる。
 川口の人口減少が統計的にも現在40歳代が5,000人としたら、今の1歳、2歳はその半分程度ということで、30年、40年同じことをやっていたら、絶対に維持できないというような、これは火をみるより明らかであります。
 今、答弁いただいたわけですけれども、莫大なお金、当局としてどのような長期的に、短中期じゃないですよ、長期的に施設を維持、そして管理、更新をしていこうと考えているのか、もう一度答弁をいただきたいなと思います。
一般質問答弁用

◎江連保明生涯学習部長 再質問に御答弁申し上げます。

 学校等教育施設の長期的な維持管理や整備につきましては、先ほど市長が答弁いたしました本市の施設マネジメント基本方針に基づきまして、効率的、効果的な施設の適正管理に努めて参りたいと考えております。
 以上でございます。

◆19番稲川和成議員 自由民主党の稲川和成

今、部長のほうから施設マネジメント基本方針に基づくという答弁をいただきました。1日も早く取り組まないと、未来の宝、子どもたちが大変な思いをするのかなと考えております。
 私たちの川口市一般会計、平成25年度の当初予算は1,727億3,000万円でスタートしているわけであります。今、お話しさせていただいたように5施設だけを更新、同じ場所、同じ機能、同じ大きさで更新したときには、この一般会計の当初予算をはるかに上回る額がないと維持できないということ、更新できないということでありますので、ぜひその辺速やかに研究に入って、実行に移っていっていただければなと思います。